日々是好日

死ぬまでハッピー!

推しが好きって話

 

 雪ですね。11月って秋だと思ってたけどこのご時世もう冬なんですかね。

 寒いのでおうちに引きこもって推しの過去作品DVDをつらつら見ていたら「あ~好き~!」が募りすぎてしまって、そんなタイミングでこちらのエントリに出会ったので、真似っこしてみたいと思います。

 

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 項目など参考にさせてもらいました! いつも楽しく拝読してます。。

 

 

1.推しの基礎プロフィール

 1979年1月22日生まれの水瓶座O型、175センチ細身!

 毎年恒例のお誕生日イベントが来年は1月18日~22日にザムザ阿佐谷で開催されます!!10回記念のショーもやっちゃったり崎山くんや有澤くんといった人気若手俳優も来ちゃったり、どうなるのかわからなすぎて刺激的かつフレンドリーなイベント!!皆様ぜひ!!!!!!

 推しはこのイベント期間中のお誕生日で38歳になるのですが、見た目と服装が完全にアラフォーじゃないです。若手俳優の括りには絶対入らないけど、28歳くらいに思ってる節はある・・・きちんと大人だし、しっかり物事を見据えてるひとだなあとも思ってますが。私より一回り以上年齢が上なので、友達に推しの年齢を言うと「???」みたいな顔されます。顔を見せると「20代じゃないの!?」って言われます。アンチエイジング恐ろしいですね。

 事務所はラ・セッテ。世界でいちばん好きな事務所です!!好きって言えるほど知ってる事務所もラ・セッテくらいしかないしそんなに詳しいわけじゃないけど!!友達に「津田寛治さんと同じ事務所」と言うと高確率でびっくりされます。忘年会したり、所属俳優さんのお誕生日をお祝いしたり、仲良しであったかいなぁと思います。あとホームページがかっこいい。ブログ更新が楽しみで毎日チェックしちゃいます。

 一人称は「俺」だけどSNSだと「私」になったりたまに「僕」が出てきたり・・・巻き舌気味なので「おれはぁ」って言ったときの「れ」がなんかチャラくて好きです。

 基礎プロフィールかって聞かれると微妙なところだけど、カラオケの十八番は「夜空ノムコウ」!! イベントとかで歌わなきゃいけない場面だとたいていこの曲、なのかなあ? 私は2回だけ生で聴きました。初めて聴いたのは去年末の「さよならブレーメン」のゲスト出演時で、最前ゼロズレだったので戸惑いました・・・音程はふわふわしてたけど声が好きなので嬉しかったな。

 

 

2.推しの容姿

 銀河系でいちばんかっこいいですよね?????

 目は離れててぎょろっと大きい、くっきり二重、鷲鼻、色白でくちびるは薄くて、愛嬌があるから可愛いけど無表情だとめちゃめちゃきれい。悪人面も王子様めいた微笑も似合う。お芝居を売りにしてる役者さんに「顔がかっこいい」って言うのはどうなんだろう・・・と思ってた時期もありますが、かっこいいんだから仕方ないよね!?この世の真理!!!推しの顔がほんとうにほんとうにかっこよくて好きです!!!!!

 もともと小池徹平くんとか二宮和也くんみたいな犬顔が好きだったんだけど、推しを好きになってからは綺麗めのお顔に惹かれるようになった気がする。廣瀬智紀くんとか、佐藤永典くんとか、松田岳くんとか・・・。目の大きいひとが好きなのかなぁ。

 ビジュアルで言うと「冒険者たち」初演のときがかっこよすぎて意味わかんないなと思う。みんな大好きイカサマ、キャラクターもそうだけど、カーキのツナギに金髪にねずみの耳ってずるすぎる。黒髪もさわやかで好きだけど、明るめの髪色似合うから去年今年と見れてるのとっても嬉しいです。基本的にお顔の造形が好きなので髪型はどんなんでもいいのかもしれない。

 足が長くて細いのも好き。タイトなジーパン穿いてると細すぎて心配になってくる。折れそう。すらっと背が高くて舞台映えするよね、175センチって高いのかよくわかんないけどね。

 

 

3.推しの出演作

 基本的にオリジナル作品、ストレート、キャパは120~800。小劇場でもちょっと大きめの劇場でも観られるしチケットも頑張れば前方席とれるし、ファンとしてはとても恵まれた環境だなとしみじみ思います。

 お兄さんといっしょにやってるユニット・WBBの公演が年2回、と思いきや番外公演というものができて今年は3回公演を打ちました。WBBは若手俳優からベテラン俳優まで幅広い年代の役者さんがいっぱい出るし、エンタメ要素が強くて観やすいし、どんなときでもシンプルに楽しめる作品が主なのでもっともっと広まってほしいなぁと思うし、どんどん人気になると思ってます。定期的にやってくれるから嬉しい。推しサイドとお兄さんサイドで分かれてますが、前者は派手なアクションコメディ、後者は丁寧なワンシチュエーションコメディって感じです。推しは自分のサイドだと演出とか脚本に挑戦してくれるので毎回告知を楽しみにしてます、来年はどうなるかなぁ。

 リーダーを務めてる演劇ユニット・*pnish*も去年、今年と本公演を続けてくれてて嬉しい限りです・・・。今年で15周年ということでお誕生日イベント「ハピパニ」も開催されて、映像でしか見たことのなかったダンスやキャラクターを目の当たりにできました。次は20周年のときなのかなぁ。*pnish*でもからっと軽いどたばたコメディを主にやってる、と思うんだけど、去年は「魔王JR」でかなり重厚感のある2.5次元舞台を、今年はコメディ要素もあるけど男くさくて熱い「サムライモード」の再演を渋めにやってたので、方向性も変わってきてるのかなぁと思います。年齢を重ねていろんな作風をいろんな見せ方で提供してくれて、次はどんなものが展開されるのか楽しみです。*pnish*にいるときの推しはボケても拾ってくれるって安心感があるのかほかの現場より自由にのびのびしてる感じがして、なんだか私もほっとします。メンバーもお芝居上手くてやさしくて面白いし、知るたび*pnish*を好きになる・・・。

 今まで演じた役でいちばん好きなのは「アヤカシ奇譚」の安曇優くんで、これに関しては前記事を参照していただきたい。特別です。あと「空飛ぶジョンと萬次郎」の次郎くんとか、「モンスターボックス」の遠藤とか・・・。何かしら陰を負ってる役が好きなのかも。生で観たっていうと、「リバースヒストリカ2016」の秀吉かなぁ。秀吉に関しては役が好きというか、演じてるときの表情が良すぎて胸が熱くなりました。

 好きな作品は「懲悪バスターズ」!推しが作演を務めたこともあって期待していたのだけど、それを大きく上回って楽しすぎて本気でびっくりした。ダンスありアクションありのど派手なステージで、それに加えて悪霊と人間の心の通いあいや「誰かを大切に思うこと」「知りたいと思うこと」っていうお話の底に流れるテーマがあったかくて。推しはロボット役だったんだけど、声発さないのにインパクト抜群だし観に来た友達に「ロボット役上手すぎじゃない!?」って言われたくらい本気ではまり役だった。ロボットがはまり役ってどういうことなのかわかんないけど。

 今年は舞台7本とイベント2本で特に多かった気がするけど、コンスタントにお仕事が詰まってて追っかけ甲斐があるなぁと思う。千秋楽の次の日に顔合わせとか休演日に撮影とかザラにあって本人は大変そうだけど・・・。毎年お誕生日イベントで1年を始められるし、幸福ですね。

 

 

4.推しの脚本・演出

 推しは役者さんだけど、脚本を書くし演出もする。今年は演出作品多かったなぁ。出演もしてたけど。

 推しの書く作品は、とてもやさしいなぁと思う。フィクションの中にすっと一筋だけリアルが混じってたりして、まるっと大団円!って感じではないんだけど。起承転結がはっきりしてて、思いっきり盛り上がるシーンがあったり、見てて置いていかれることがない。丁寧すぎて間延びするシーンもなくはない、と思ってたんだけど、最新の「懲悪バスターズ」はマジでそんなことなかった!!!ダンスとの組み合わせが相性よかったのかな!?天才だって何度も思った!!!!物語を書くときって自分の考えっていうか哲学がすごく表れるから、推しの脚本作品もっと観てみたいなーって思う。

 演出については語るの難しいんだけど、「今観てほしいのはここ!」ってわかりやすいな、とは思う。どこがメインなのかわかんないお芝居ってたまにあるけど、推しの作る舞台でそれは思ったことないなー。ザ・エンタメ!みたいな舞台の演出が多いから、また違った作風のものならそれに合わせた作り方をするんだろうけど。

 推しを見てて、やっぱり演出のお仕事をしたいのかなぁと思う。最近は舞台を作るのが楽しいって先日のトークライブでも言ってたし。私は推しのお芝居が好きだし役者さんとしての推しのファンだから、出演作品をいっぱい観たいなぁとも思っちゃうんだけど・・・。でも結局、推しがやりたいって思ったこととか正しいって選んだものが正解だから、それを応援するしかないんだよね。楽しい作品を作ろうって意識が人一倍高いところが!!好き!!!

 

 

5.推しの良いところ

・熱いところ

 さっきも書いたけど、楽しい作品を作ろうって意識がたぶんとても高くて、「後悔は絶対残るけど、それを少しでも減らせるように、やれることをやる」ってツイートしたり、ひとつでも上に前に進もうとするところ。仕込みとかバラシも手伝いたい、スタッフさんといっしょに舞台を作りたいって言うところも好き。

 「懲悪バスターズ」のアフタートークで土屋さんが語ってたけど、演出家なのに人手が足りないからって転換を手伝ったり他人の分まで苦労を背負い込もうとしたり、そういうとことん自分を追い込んじゃうところ、ストイックなところがすごく心配ですごく好きです。心配なんて不要なんだろうけど。頑張ることができる、ってとても強いと思います。

 

・周りへの感謝を忘れないところ

 先述したようにめちゃめちゃ頑張って作品を作るひとなんですけど、そうやって立った舞台のカーテンコールでは絶対にスタッフさんやキャストさん、観客への感謝を滔々と語るんですよね。自分が苦労したことなんて一言も言わない。演出した作品では特に、周りのひとに助けられました、ご迷惑おかけしました、って言うけど、そういう推しだから周りのひとも助けようって思うんだよ~っていつも泣きたくなる。驕らないしきちんと感謝を言葉にできる推しが誇らしいです。

 

・厳しいところ

 基本的にフレンドリーでにこにこしてていじられキャラな面もあるし今日WBB公式から上がった動画では「親しみやすいひと」ってお題でキャスト内1位になってたような推しなんですけど、立場によってはきちんと叱ったり注意できるのがかっこいいなーって思います。カメラ回ってても注意するしいきなりぶっこむからヒヤッとするときもあるけど。お客さんがお金を払って舞台を観てるって意識がちゃんとある推しだから、毎回安心してチケットを買えます。ありがたや。

 

・ファンを大切にしてくれるところ

 とりあえずD-roomに来てくれ!!!!!!以上!!!!!!!!!!

 

 

6.総括

 ぜんぜん紹介とかじゃないしただ私の思う推しについてをつらつら書いただけの記事になってしまったけど、なんていうか改めて推し最高だな!!!!!!って思いました!!!

 上手い役者さんもかっこいい役者さんもいっぱいいるけど、こんなに好きで1秒も見逃したくない役者さんはやっぱり推しだけなんだよなぁ。推しのファンでよかった~って毎回思う。お芝居もお顔も考え方も行動も話すことも、ぜんぶ好き。嫌いなところとか本気でひとつもないから、もはや「好きなところ:存在」なのかもしれない・・・・・・。

 ちなみに今後演じてほしい役柄は「役者」です。感情を爆発させる間際みたいな顔が抜群に好きなので、そういう熱を秘めた役とかやってほしい!でもどんな役でも嬉しいなぁ、どうしようもないクズみたいな役も見たい。そういう役のいる舞台に立ってる姿想像できないけど。

 日本は早く推しを人間国宝に指定してほしいです!!!!!おわり!!!!!!!!!!

 

 

安曇優くんに向けて

 

 私には、特別な男の子がいる。

 『アヤカシ奇譚』という舞台の主人公、安曇優くんだ。
 優くんはいつでもにかにかと笑っていて、ちょっとばかで、でもとびきりやさしくて、アヤカシハンターから逃げ回るアヤカシを助けてしまう男の子。自らを「アヤカシハンターハンターだ!」と名乗り、ピースを突き出す。
 そんな彼には夢がある。アヤカシと人間が共に生きられる世界を作ること。自分が半妖半人であることから、その愛の架け橋になるんだと信じてやまない。
 跳ねた茶髪と、赤いマフラー、白い服を着た優くんは、舞台という森を駆け回る。2009年の話だ。未来に生きる私は、画面を挟んで彼を見ている。
 優くん、あなたは幸せだっただろうか。

 


 優くんを取り巻くひとびとも個性豊かで、とてもクセが強い。
 若手アヤカシハンターの鏡くんは血気盛んで尖ってるし、その上司かつ天才ハンターである時雨さんは飄々としていてどこか掴めない。優くんを保護している座敷家の当主・童子は優しくも厳しく接してくれるけど、代々保持している「言霊」という秘宝については神経を過敏にさせている。
 そんな人間たちと相対する存在として鎮座するアヤカシ側は、最強のアヤカシ・阿修羅を筆頭に、その部下であるシバ、阿修羅の両腕と、見た目のインパクトも強い面子だ。
 そして優くんは、ハイエナという下級アヤカシに出会う。
 ハイエナは妖力も高くなく、目上の者に媚びへつらうことでなんとか生きているようなアヤカシだ。彼を鏡くんから助けるかたちで知り合った優くんは、少しずつ交流を深めていくこととなる。
 アヤカシも人間も守ろうと奔走する優くんは、ひょんなことから自分の出生の秘密を知ってしまう。アヤカシと人間の子どもだと思っていたその身は、言霊の霊力によって人工的に作られた産物だったのだ。
 動揺して逃げる優くんを助けたのはハイエナの言葉だった。なんとか持ち直してまたアヤカシハンターハンターとして立ち上がった優くんは、阿修羅の暴動を止めるため走り出す。
 物語はそして、優くんの悲しくてやさしい選択で幕を閉じる。友達を救うため、愛の架け橋になるため、きっといろんな理由で、優くんはその道を選んだ。でも何も言わない。ただいつものピースだけを残して、消えていく。彼らの前からも、私たちの前からも。
 優くんはもうどこにもいない。

 


 私がこのアヤカシ奇譚という作品をずっとずっと大切に特別に思っているのは、優くんに怒り続けてるからかもしれない。
 だって、こんなにずるい消え方ってない。一方的に決断して、みんなを守った気になっているのか。残された童子はどうするんだ、優くんを「家族だ」って言ってたのに。
 腹立たしくて、悲しくて、でもこういう選択をしてしまう優くんだからきっとこんなに愛おしくて、悔しい。
 優くんはアヤカシと人間が共存できる世界を何より望んでたから、その夢が叶ってよかったのだろう。この先、誰の「唯一」にもなれないとしても、心を通わせる相手を見つけられないとしても。
 でも、優くんはもうひとりじゃないのかな、とも思う。アヤカシでも人間でもない中途半端な存在として悩んでた優くんのアイデンティティーの確立方法は「アヤカシハンターハンター」を名乗ることだったけど、それもきちんと全うできてるとは言えなくて。ただ、これからはそんな心配はしなくていい。優くんはどこにもいないけど、きっとどこにでもいる。もう不安で寂しい気持ちになることはないのかな。どうだろう?

 


 いつかタイムマシンが開発されたら、私はぜったいに2009年1月25日に帰る。シアターサンモールで当日券を買って、優くんの最後の日に、優くんに会いに行く。どんなに遠くの席でも端っこでもいいから、一目会いたい。再演じゃなくて、あのときの優くんがいい。
 って言いつつも、もし万が一再演したら通っちゃうんだろうな。そうしたら、あの終わり方だけは変えないでほしいな。大嫌いで大好きなラストシーン。そらで台詞が言えるほど何回も何回も観た、優くんの最後。


 優くんは、幸せだろうか。
 笑ってピースする姿が、不幸そうには見えなかったけど。あの物語が終わったあと、優くんは幸せになれてるだろうか。フィクションの世界に尋ねても無駄なことはわかってるけど、それでも願わずにいられない。
 私は今日も、8年後のこの世界から、あのやさしい男の子を想っている。優くんの時がもう進まなくても、何度だって立ち返って会いに行こう。
 ずっとずっと、私の特別でいてほしい。

 

 

懲悪バスターズ 後夜祭

 

9月下旬、懲悪バスターズのDVDが届いた。

5月末に公演が終わってから首を長くして待っていたそのDVDだったが、実は観るのが怖くもあった。

私はもともと、舞台は生で観たい派である。いや、みんなそうだと思うんだけど、私の場合は、実際に劇場で観た舞台をDVDで観ると拍子抜けしてしまうことが多くて、それが怖いのだ。

この音楽はこんなに綺麗に嵌っていたっけ? このキャラクターはこんなにずっとキマっていたっけ? この色は、この照明は、この台詞は、こんなに遠かったっけ?

本来なまものであるはずの舞台が映像記録として残るのは、素直に嬉しい。何度も何度も観たいという気持ちを満たしてくれるし、リアルタイムじゃ気付かなかった表情や動きを発見できることもある。もう公演期間が終わってしまった過去の作品を追えるのも魅力的だ。

でも、カメラを通して観ると、あの日あのとき劇場で感じた痺れだとか興奮だとか高揚がどこか遠いものに感じてしまって、舞台を観た記憶が思い出や記録に変わってしまう感覚がして、なんだかさみしくなってしまう。

だから、ちょっと怖かった。宅配物を受け取った手は少しだけ震えていて、でもビニールを破るとやっぱり心は疾って、サムライモードの公演期間中だったから控えようと思ってたのに我慢できなくて、つい再生してしまった。

どうかあの日々が風化しませんように、と願いながら、ゆびさきに力をこめる。

 

 

私は、懲悪バスターズのあたたかくてやさしい物語が好きだった。

キャラクターそれぞれがみんな好きだったし、音楽が好きで、セットが好きで、ダンスが好きで、空気が好きで、日替わりの台詞や客席降りの自由さが好きで、カーテンコールで噴射される紙吹雪が好きで、舞う紙吹雪を見上げてるキャストさんたちが好きで、その光景が好きで、なんかもう、ばかみたいに、ぜんぶが好きだった。

懐かしいそれらは、余すことなく隅々まで、DVDの中に生きていた。

私の心配や不安なんて吹き飛ばすみたいに、彼らは鮮やかにそこに立っていた。カメラがあるからなんなのって笑うみたいに、画面の向こうから私を見ていた。

もちろん、映ってなくて悔しいって思った場面もあった。音楽だって当たり前に劇場で聞いた方が迫力があったし、ダンスや殺陣も目の前で観たあの臨場感には勝てない。

だけど、私があの日々に打ちこまれた熱は、絶対に消えてなかった。

オープニング、モイモンの誘導で悪霊たちが出てくるシーン。大好きだったあの場面ではやっぱり鳥肌が立ったし、レイヴンのあひる口は可愛くて笑ってしまったし、高坂の「舘合さーん!」は抜群にのびやかだった。

大好きだったあれもこれも詰まっていて、気づいたら画面を観ながら泣いていた。劇場で何回も泣いたくせに、飽きもせず涙が出た。エンディングダンスを観ながらひとしきり泣いて、エンドロールの「作・演出 佐野大樹」の文字でまた泣いた。明らかに泣きすぎだ。意味がわからない。

笑っちゃうくらいに大好きで、泣けるくらい愛しい作品だった。

 

 

脚本と、演出と、プロデュースと、それに加えてオーメンという役でダンスにも殺陣にも参加していた大樹っちゃんに、このひとは今どれくらいの重さのものを背負ってるんだろうって苦しくなった初日をふと思い出した。

神戸の大千秋楽のあと書かれたブログを、今でもたまに読み返す。

つらかったことや悔しい思いを乗り越えて作られたこの作品は、ツイッターでの評判もよく、たくさんのひとを笑顔にしてくれた、と私は思っている。

そんな笑い声を聞いて、笑顔を見て、「よかった」と大樹っちゃんが思ってくれたことに、私も「よかった」と思った。頑張ってよかったとか、喜んでもらえてよかったとか、たぶんいろんな気持ちが詰まっているであろうこの一言に、なぜか私が救われてしまった。

いちばん先頭で苦労をした作品のカーテンコールで感謝の言葉を滔々と述べる姿に、誇らしい、と思わないはずがない。そういうところが好きだってあの日も思ったし、DVDで観たときも同じように思った。

どうか、大樹っちゃんにとっても懲悪バスターズが大切な作品であってほしい。

 

 

 

DVDを観終わって、やっと、終わった、と思った。

去年のネバー×ヒーローの東京千秋楽から始まった私の懲悪バスターズは、やっときちんと、心のなかに嵌ってくれた。パズルの最後のピースを埋めたみたいな気分だった。

終わるって、無くなるとか置いてくとかそういうことではなくて、これから先いっしょに生きていく覚悟を決めることでもあるんだなぁって思った。その場にとどまるんじゃなくて、歩いていく。

私はたぶん、一生、懲悪バスターズという作品を心のなかに嵌めながら進んでいくんだと思う。

誰がなんと言ってもこの作品は面白くて、かっこよくて、かわいくて、やさしくて、あったかくて、刺激的で、ポップで、元気をくれる、とびっきりの最高傑作だ!

懲悪バスターズに出会えてよかった。出会わせてくれてありがとう。

大好きです、ずっと。

 

 

サムライモード 感想

 

*pnish* vol.15 『サムライモード』

期間:9月24日~27日(東京)、10月1・2日(神戸)

劇場:サンシャイン劇場新神戸オリエンタル劇場

あらすじ(公式サイトより):

いつかの戦国の世。
「伊那家」が「羽生家」によって滅ぼされ、
伊那家を支える二将、シスイとサイガが野に散って行くところから、全ては始まった。

この二人を捕らえるよう命を受けたのが、
羽生家の次男、謀反の気があると噂されている凌明。

任務を遂行し、当主である兄からの疑いを晴らそうと意気込む凌明は、
先の戦いで捕らわれていたシスイの従者、ガラクシャに近付くが…。

 

 

さて感想です。

サムライモードと言えば、*pnish*の代表作といっても過言ではないのではないだろうか。14作品ある本公演の中でもサムライモードがいちばん好きという声はよく聞くし、私もストーリーの完成度で言うと一、二を争う作品だと思う。

*pnish*の持ち味であるわかりやすいギャグやどたばた活劇を上手く男っぽい熱で包みこみ、ドラマ性を高くしたサムライモードは、2008年の初演から絶大な人気を誇る。この作品を15周年という節目に再演するという選択をした*pnish*と、そんな彼らのこの15年の演劇界での歩みをサムライたちの生き様と重ね合わせたという今回演出を手がけた鈴木勝秀さん。そして個性豊かな客演陣を迎え、新しく生まれ変わったサムライモードがそこにはあった。

遠い未来。過去のどこかに似た、遠い未来。私たちは、突如としてそんなふわふわと曖昧な世界に放り込まれる。え?サムライモードって時代劇でしょう?ゲネプロの写真を見たときから飛んでいたハテナマークが、佐藤永典くん演じる凌明の叫びによって回収されていく。

がんがん容赦なく鳴り響く爆音、刀を振り回す侍たちにはそぐわない、けれどこのパラレルワールドに生きる『サムライ』たちには不思議なほどぴったりと嵌る洋楽と、恐ろしく美しい照明。あやふやな情報しか与えられていないフィールドなのに確かにびしっと芯が通っているのは、登場人物たちの持つ信念が揺らがないから。

この世界に、余計なものなんてひとつもない。ぜんぶ削ぎ落として、苦しくなるくらいの取捨選択をして、それで初めて、みんながそこに立っている。

シンプルで、まっすぐ。私はこの作品を、美しい、と思いました。

 

 

■サイガ様に見る愛と希望

サイガ様に愛とか希望とかそんなチープな言葉を遣うのは憚られるのだけど、このぺらっぺらに使い古されて軽そうに見えるくせにしっかり光を届けちゃう感じがちょっと私の思うサイガ様のイメージと被る、ような気もする。

まず、サイガ様を語る上で欠かせないツイートがある。

 

演出のスズカツさんによる、初日前日のツイート。

この引用されている2枚の絵は、イギリスの覆面芸術家・Banksyによって描かれた壁画だ。反戦の意味が込められたイラスト。「愛こそ答えだ」という文言と、火薬瓶の代わりに花束を投げようとするギャング。

サイガ様は、銃に花を仕込む。それを発砲し、花が出てきたことに理解が追いついていない相手に「笑えるだろ?」と問いかける。常に飄々としていて余裕を崩さないサイガ様の揺るがない信念がそこにはあるのだろう。

初日、いちばん印象に残った台詞は、ガラクシャがサイガ様に向けた「あなたは人を撃たない!」だった。トラジを人質にとったサイガ様がシスイ様の解放を迫るシーン、初演では「あなたはそういう人だ」と言われていた。無益な殺しを避ける、というサイガ様のアイデンティティは変わらないが、それが今回は強調されていたように感じる。稽古の最初の段階では「あなたは人を撃てない」だったこの台詞が、ガラクシャを演じる土屋さんの判断で「撃たない」に変わったそうで、この一文字の改変がサイガ様の根幹を作ったのではないか、と私は勝手に思っている。

サイガ様は、撃てないんじゃない、撃たないのだ。できないから選ばないんじゃなくて、絶やさない笑顔の裏側にひとつ貫いているサイガ様なりの武士道が、人を殺さないという選択を常にしている。

タンバの台詞で「シスイサイガのふたりといいお前といい、もっと楽に生きられんのか」っていうのがあったんだけど、私はここでサイガ様が並んだのがちょっと驚きで。単純に羽生家に歯向かうなんていうバカみたいな真似をしてるのがタンバには「難儀な生き方だなあ」と思わせてるんだろうけど、なんていうか、シスイ様を不器用な男だって思ってるサイガ様も、器用なひとではないんじゃないかなぁなんて思ったりした。人生を常に楽しく捉えようとするサイガ様だから生きづらさは感じてないだろうけど。

「人を殺すことはしない、だけど戦場に身を置く」ってはたから見るとものすごくつらそうだし、やめちゃいなよって言いたくなるんだけど、たぶんそうじゃないんだよね。サイガ様は「人を殺したくない」じゃなくて「人を殺さない」だし、ここにネガティブな要素はきっとひとつもない。人を殺すのは「面白くない」からっていう、シンプルな考えなのかなって思う。

ただ、どうしても戦場って人を傷つけて傷つけられる場所だからそういう暗さが付きまといがちで、そんな場で手品みたいに花束を次々と出して「どうだ~!」なんて両手広げて笑うサイガ様は、希望のひとなんじゃないかなぁと思う。本当にチープなんだけど、この作品に関しては、こういう良い意味で軽くて明るい単語を遣ってみたい気がする。綺麗事だ、くだらないって切り捨てそうになるものを掬いあげてくれるのが、*pnish*だったりWBBのお芝居だなあ、と私は常々思っています。

実は、初演の映像を観たとき、サイガ様って冷たいひとなんじゃないかと思った。自分にとっての利益で動くひとというか。なんでそう感じたのかは覚えてないんだけど、フラットに見えて付け入る隙を与えないひとだ、と思っていた。

それが、今回のサイガ様を観たらがらっとイメージが変わってしまった。サイガ様は頭がいいひとだから伊那家の上様の心が弱すぎて戦国の世を渡っていけないこともきっと早くから悟っていたし、賢明の策略によって遠ざけられていくシスイ様をすぐ近くで見ていて。口ぶりからして上様ひいては伊那家への情や忠誠心ってあまり高くないような気がするし争いの無益さだって知ってるはずのサイガ様がどうして一揆を起こすんだろうって不思議だったんだけど、自分にはない忠義心と圧倒的な強さを持つシスイ様のそばがいちばん「面白い」って判断したからなのかなぁ。たぶん、シスイ様の強さを誰よりも信じてるのってサイガ様なんだよなぁ。「こいつは強いよ、たぶんこの世でいちばん強いと思うけど大丈夫?」っていう台詞、いろんなものを疑ったり小さな引っかかりさえも逃さないサイガ様が、いちばんだって断言してるのが好き。

このふたりの関係性を表すシーンといえば、「どう思う? 我らがやっていることだ」ってシスイ様が尋ねるところだと思う。どんなに兵力を膨らませたって一揆軍で羽生を打ち滅ぼすなんて到底無理で、それでも何回も何回も繰り返し戦を起こす、その無益さなんて百も承知のシスイ様が、サイガ様にだけ答えを求める。サムライとしての揺るぎなき信念を持って多くの人々に憧れの対象として崇拝されて、実際剣の腕だけじゃなく精神的にもおそろしく強いひとなんだろうけど、強いからって傷つかないわけじゃないんだよね。心の弱かった上様を「だが、お優しい方であった」って謀反を疑われて遠ざけられてもなおそう言えるシスイ様は、きちんと傷つくことのできる、悲しむことのできる、心のやわらかいひとだったのかなぁって思う。そんなシスイ様の矛盾だったり葛藤をきっと知っていて、サイガ様はそこに面白さを見出して受け入れて後押ししてるっていうのが、このふたりの確かな信頼だったり、甘ったるさのない情なのかなぁ。

で、サイガ様を取り巻くひとといえば忘れちゃいけないのがナミキヨ。客席降りでの日替わりシーンが毎回毎回過激すぎて、尊敬の念をこめてナミキヨ先輩って呼んでました。公演期間中、ずっとツイッターのプロフィール欄を「♡三度の飯よりサイガ様♡」にしていたんですが、これもナミキヨを演じていた崎山つばささんがDeviewのインタビューで答えていたコメントから引用させていただいたものです。このフレーズ性の高さ、声に出して読みたい日本語すぎる。

「我が主サイガ様も、シスイ様に負けず劣らずのお方・・・!」と宙に手を伸ばしてみたり、サイガ様の銃から飛び出した花に嬉しそうな顔をしたり、覆面剣士とシスイ様が戦っているときも刀を抜いてサイガ様を守っていたり、頭をなでられてへにゃっと笑ったり、サイガ様へのあふれんばかりの愛と忠義心を持っていたナミキヨ。でも自分の慕うサイガ様に恥ずかしくないよう体力づくりしたり鍛錬を積んでる様子が見てとれて好感が持てました・・・ゴールデンレトリーバーみたいでとっても可愛いのに、ガラクシャと戦ってるときは手のひらに唾吐いて「死ね!!」って叫んだり、ワイルドな面も見せてくれるギャップにときめいたなぁ。そんなナミキヨが自分の指示を受けて走っていく後ろ姿にふっと笑みをこぼすサイガ様も、あー大切だし信頼してるんだなぁって感じられてよかった。とても明るくて、わかりやすくて、でも強い敬愛で繋がってる主従コンビだなぁと思いました。日替わりの客席降り、私は肘としりとりが好きでした!レポはこちら!

 ナミキヨ先輩と居酒屋オールナイトで語りたいし「サイガ様のすてきなところ」っていうお題で古今東西山手線ゲームしたいです!!!!!

長々と語ってしまったけれど、サイガ様の存在は希望ってことです。私はやっぱりサイガ様がいちばん、めちゃめちゃに好きなので、これから羽生家に仕えるっていう選択をしたその先の未来が明るいものであればいいなぁとおもう。おどけて笑ったり、部下にやさしい表情を向けたり、ぎらぎら目を輝かせて駆け出したり、戦友の生きていく道を何も言わず受け止めたり。そんなサイガ様のこれからが、ずうっとずうっと面白いものであればいいなーなんて思ってるし、きっとこの人なら自分の手で日常を彩っていくんだろうと信じてもいる。

思いがけず、本当に入れ込んでしまった。サイガ様に出会えてよかったです。

 

 

 ■凌明とガラクシャが持つ天秤

シスイ様とサイガ様を捕らえるため行動を共にすることになったこのふたりは、どちらも天秤を持っていたように思える。しかも、最初からどちらを切り捨てるか決まっている天秤だ。それぞれの守らなくてはならないものと、お互いの存在。

ガラクシャにとっては主であるシスイ様が何より大切にすべき存在、というか自分の根幹にあるひとで、そのひとの復讐を終わらせるために凌明を裏切る覚悟をする。でもやっぱり心のどこかで凌明を大切に思ってしまって、一度は「お前とは戦いたくねえ」ってぶつかることを放棄しようとする。このときの「ガラクシャ!」って呼ぶ凌明の声が切なかったなあ。この時点でまだガラクシャは凌明を下に見てるっていうか、ただの人のいい甘ったれ、腑抜けだっていう意識が少なからずあると思ってて、でもそれが「戦いてえ」って思うまでに変化するって革命的だったんじゃないかなあ。ずっとシスイ様につき従ってきたガラクシャが、頂点に立つサムライと同等の立場で戦う未来を選ぶってよっぽどだし、この選択を掴ませたのは凌明なわけで。無理やり自分のいるフィールドまでガラクシャを引き上げたみたいな感じすらある。

凌明は強かで、狡猾で、でもすごくまっすぐ前を見る、潔いサムライだったなあと思います。前半はワインを両手で抱えながら走ってきたり「あれほどの武人が自ら名前を汚してるっていうのに平気なんだ・・・?」って悲しそうな声を出したりハイパー可愛くてキーホルダーにして持ち歩きたいくらいだったのに、後半では凌明が吼えるたび空気がびりびり震えてびっくりした。これはもうさとちゃん凄いとしか言えない。個人的には、プライベートで仲の良い大樹っちゃんとさとちゃんがサイガ様と凌明として腹の探り合いをしてる場面を観られたことに胸が熱くなりました。

最初からぜんぶ凌明が仕組んでいたことで、それはそうなんだけど、「お前らと一緒にいると蕎麦食うのも一苦労だな」って呆れ顔のガラクシャに「でも楽しいでしょ?」って笑ったのは嘘じゃないって思いたいし、この会話してるふたりはただの友達みたいですごく好きだったんだよなあ。これはただの妄想というか願望なんだけど、タンバの寺から捜索に出て夜更けにトラジに農民たちの話を聞かされるまで、凌明も心のどこかでちょっとだけ、このままサイガ様とシスイ様が見つからなくてもいいかもって思ってたんじゃないかなあ・・・。そうしたら凌明はガラクシャと友達のまま、日常は変わらないまま。いつか兄上もわかってくれるかも、なんて。でものっぴきならない現状を聞いて、それじゃだめだって覚悟を決めたのかなーと思う。この話の直後に意を決したみたいな顔でガラクシャに「隠してることを教えてくれよ」って迫るのが印象的でした。大切なものをどちらも手放さずにいることなんてできない、どうしても叶えたい夢があるなら何かを切り捨てなきゃいけない。「言っただろう!国を治めるためには、ときには非情さも必要だって」 っていうガラクシャに向けた叫びは、自分自身にも言い聞かせてたのかなあ。

ずっと討つ機会を狙っていた兄が目の前で自害の道を選んだとき、凌明はどんな気持ちだったんだろう。「兄上!!」って叫んだあの声からは喜びなんか一切感じられなくて、兄弟間で玉座を争うご時世ではあってもきちんと情が流れていたんじゃないかなって信じたくなる。賢明は凌明について「まるっきりの馬鹿であればよかったものを!」って言ってたけど、私は賢明こそ馬鹿だったらよかったのにって思った。ただ威張り散らすだけの、自分と弟の力の差すらわからないようなだめな殿様。そしたら、こんな風に怯えて虚勢を張ることも、自分のいちばんの部下すら疑うこともなかったんじゃないかなあ。周りの評価も、父上からの目も、ほしくてたまらない功績も、ぜんぶ軽々と持っていく弟に、賢明はどれほど苦しめられていたんだろう。最期「地獄で見ておるぞ」って笑ったのを見て、ああこのひとはやっと解放されたんだって思った。あんな顔で笑えるし、部下のために戦えるし、根っこはやさしいひとなんじゃないかな。ただ劣等感で目隠しされていて、遠回りが多かったけど。もうそれは取り返しのつかないことだったけど。賢明さまが幸せになれる世界線に行きたいです。

演説の熱っぽさと、そのあとのガラクシャに向ける声の底冷えするような平淡さのギャップが凌明の貫録を引き立てていたように思う。「やるじゃねえか、りょうのすけ!」って言うガラクシャに「私の名は凌明だ」 って訂正するシーン、サムライモードの劇中で一、二を争うくらい好きだったかも。こうやって言うことで、凌明はもう二度と団子屋の三男坊には戻れなくなったんだよね。自分でその道を完全に断った瞬間というか。でも、ガラクシャはそのあとも「俺は、りょうのすけと戦いてえ」って言う。凌明が切り捨てたものを、拾ってしまう。こうやって呼ぶことで、ガラクシャと凌明・・・りょうのすけが一緒にいた時間は嘘じゃなくなったというか。このふたりは同じように天秤を持って出会って、凌明が片方を掴むために片方を捨てたのに対して、ガラクシャは一度捨てかけたものを凌明の分まで掬い上げて、再会のときまで抱え続ける選択をしたんだなあって思う。あのあと橘からガラクシャのことを聞いた凌明は、「ガラクシャらしい」って笑うんだろうか。

 

 

■4人でのラストシーン

初演と大きく変わった点といえば、あのラストシーンだろう。

トラジとナミキヨの後処理はされず、橘がガラクシャについていくという設定も消えていた。桜の花びらが落ちる舞台上には、ガラクシャ、橘、シスイ様、サイガ様という、*pnish*の4人のみ。*pnish*が思いっきり目立つ!という作品ではない今作だが、それでもはっきりと、この舞台は*pnish*という演劇ユニットの、15周年の本公演なのだと思い知らされる。私はそれがなんだか嬉しかった。ゲストの俳優さんたちのファンの方々がどう思ったかはわからないけれど、そういう選択をしてくれたこと、4人だけの終わり方をスズカツさんが示してくれたことを、彼らのファンとしてとても嬉しく思った。私はこの劇場に、*pnish*を観に来た。彼らが責任を背負う舞台を観に来たんだって実感できて、意味がわからないくらい感動した。

春は雪溶けの季節だけれど、あの桜が降り注ぐなかで、彼らの凝り固まった心がほぐれていたらいいなぁと思った。死を覚悟していたのに響いたのは間抜けな音で、ぽかんと驚いていたサイガ様やガラクシャが愛おしかったし、無表情を少し崩して「なぜ助けた・・・!」って悔しそうにするシスイ様は誇り高くて、涼しげな顔をする橘は最高にかっこよかった。薄紅色の花びらが舞い降りる様子を見つめるサイガ様がめちゃめちゃに美しくてこの瞬間を今すぐ切り取りたいって毎回願っていたんだけど、その悲願が10月31日までアニメイトAKIBAガールズステーションさんで叶っているので皆さん行ったほうがいいです!!!!宣伝です!!!!!!あのパネル売ってほしい!!!!!!!!!!!!

ラストシーンといえば、シスイ様とガラクシャだなぁ。「長い間放っておいてすまなかった、辛かっただろう」って語りかけたあの言葉は、謀反を疑われて上様に遠ざけられてしまった自分とガラクシャを重ね合わせたのかなあと少し思った。それまでの切羽詰まったみたいな厳しさがすっかり溶けてやわらかくなった表情と声が本当にきれいで、がくんと膝を折るガラクシャの姿に涙が出た。シスイ様を信じて、救いたくてここまで戦ってきて、最後の最後にあんなふうに声をかけてもらって、この数秒でガラクシャのこれまでは報われたし、この一言がこれからのガラクシャを生かすんだ、と思った。シスイ様とガラクシャは言葉こそあまり交わさないし同じ空間にいる時間もほかの主従に比べて少ないんだけど、それでもどこにも負けないくらいの繋がりの深さを見せつけられた気がする。相手の存在を常に感じているというか。もしサムライモードの続編があるなら、シスイ様の愛刀・童子切安綱がガラクシャの手に渡ってほしいな。鬼みたいに強い男が鬼斬りの刀を振るうところが見たい。

サイガ様と橘が下手、シスイ様が上手、ガラクシャが中央にばらばらに散っていくのがいいなぁと思う。羽生家に仕えてまた戦や政治と隣り合わせの道を選んだサイガ様と、これまで通り凌明に従う橘、タンバとともに仏門に入ってもう戦とは関わらないことを決めたシスイ様、そして、誰かのそばを選ばずにひとりっきりで駆けていったガラクシャ。サイガ様がシスイ様の仏門に入る旨を聞いてるときにそっと背中を向けるのが印象的だったな、そのあと橘についていくときもシスイ様はサイガ様を目で追うのに一瞥もくれなかったり。でもそれはシスイ様への興味を失ったわけじゃなくて、サイガ様なりの別離の仕方なんだなって思えた。サイガ様はシスイ様に「やっと憑き物が落ちたか」って言うけど、おだやかな表情で戦友の選択を受け入れるサイガ様も、何か楽になったのかもしれない。そうだといいな。

オープニングとエンディング、同じ曲の同じ盛り上がりで同じようにガラクシャが一歩踏み出すんだけど、敵に捕まることを受け入れて座り込むオープニングに対して、エンディングではそのままなにかを決意したように観客に背を向けて走り出すのが最高だったなあ。不自由と自由、その対比。もうひとつ、「命尽きるまで戦い抜きます!」っていう台詞、冒頭では討ち死にすることを目的に戦うんだけど、最後は生きるために戦うんだよね。同じ言葉なのに響き方がぜんぜん違う。隣にいるシスイ様とサイガ様の死への意識もまるっと違うから余計にガラクシャの台詞が胸を打つ。私はサイガ様が死ぬほど好きなんだけど、それでも、この話はガラクシャの物語だ、と思う。みんなみんな、ガラクシャによって救われてる。ガラクシャを演じたのが土屋さんでよかったなぁ。

 

 

 

最後に。

サムライモードは、この15年間、演劇界を生きてきた*pnish*の面々の生き様と被るところがあると、神戸1日目ソワレ公演のアフタートークでスズカツさんがおっしゃっていた。自分なりの正義を持って、それを貫き通すためにひたすら走って、その道を信じて、突き進んで、誰かを笑顔にするためだったりなにかを守るためだったり。男らしさと笑いとかっこよさと、一本芯のとおった骨太なこの作品は、確かに、私が*pnish*の魅力として数え上げたいものがぜんぶ詰まっているような気がする。

私は、この先もずっとずっと、全力で舞台上を生きていくであろう*pnish*をこの目で観ていきたい。森山栄治さんと、鷲尾昇さんと、土屋佑壱さんと、佐野大樹さんが大好きだ。そう改めて思わせてくれた今回の本公演が、とても大切です。

改めまして、*pnish*15周年おめでとうございます。これからもたくさんのひとに愛されて、たくさんのひとを楽しませて、4人で顔を見合わせて笑ってくれますように。

*pnish*の未来が明るいものであることを、信じて、祈っています。

 

 

リバースヒストリカ2016 感想

 

期間:7月27日~31日

劇場:品川プリンスホテル クラブeX

あらすじ(公式サイトより):

戦国時代を舞台にした自主制作映画を撮影すべく集まったスタッフ・出演者たち。
お祓いに現れたのは祈祷師…ではなく霊媒師??
ひょんなことから明智光秀を現世に降臨させてしまい、事態は思わぬ展開に・・・。
光秀に立ち向かうべく、撮影クルーが取った行動が戦国事変に拍車をかける!!

天下を獲らんと暴れる武将!
立ち向かうは撮影クルー!?
敵味方入り乱れる騒乱の行く末は・・・!?

 

 

さて感想です。

まず、このリバヒスは何回も再演されてる作品で私も3種類くらい(映像ですが)観ているので、比較しつつ語っていくのが常套かと思います。でも、公演期間を終えてみて、今回は独立したものとして扱いたいなという気持ちが芽生えました。

ということで、過去のリバヒスとの相違点などは特に語りません!

 

このお話って、観るひとの思想とか好みとか気持ちのタイミングによって感じ方がころころ変わる作品なんじゃないかなぁと思う。

主人公は中島なんだけど、その中島が戦国武将たちにどきどきしながらカメラを構えてこの様子を撮影してる、ちょっと俯瞰的な、観客サイドの人間だからかな。信長が「猿が上か、余の技量が上か・・・楽しみにしておるぞ!」って去っていくシーン、中島が小さく「かっけー・・・」って呟くんだけど、毎回めっちゃわかるって思ってたし、なんなら「あれ?私の心の声が口に出た?」って一瞬びびってた。

 

で、私にとっては、秀吉の物語でした。信長を恐れ憧れて、天下人としてのプライドと虚しさを持ち、お調子者でへらへら笑ってると思ったらふと苦しそうに顔をゆがめる、最高にかっこいいおじいちゃん。

私はもともと秀吉を演じてる佐野大樹さんのファンなんですけど、もし知らなかったとしてもこの作品でファンになってたと思う。それくらい大好きで心揺さぶられる役でした。

秀吉の好きなところは、自分が天下を獲るために光秀を騙したって自覚がきちんとあるところ。その上で、それが最善策だったって思ってるところ。光秀や朋希に責められても信長をただ討つだけじゃだめだったんだって語って「それが戦国の世じゃ」ってぴしゃりと言い放って、でも朋希に「あんたを少しでも凄いやつだって思った俺がバカみたいだよ」って言われたら少し驚いた顔をしたり、中島に擁護されても「事はそう単純ではないわい」ってその場から去ったり、どうしようもなく人間らしい矛盾や心の揺れがあるところ。

百姓に生まれつきながらも戦国時代を生き抜いて天下を獲るために策略をぐるぐると巡らして、複雑な想いをたくさん抱えた秀吉が、相手を良い人か悪い人かっていうシンプルな分け方をする朋希に出会って、その若くて力強くてまっすぐな言葉や姿勢に触れることで、少しでも心がほぐれてたらいいなぁ。秀吉と朋希の関係を、10個も年の離れた大樹っちゃんと高崎くんで観られてよかったなと思う。若い撮影クルー組の中に大樹っちゃんがいる今回のリバヒス、とてもしっくりきた。

「露と落ち露に消えにし~」って辞世の句を秀吉が詠むシーンがいちばん切なかった。儚い栄華であったなぁ、って意味のこの句を、憑依というかたちではあるけどこの世に舞い戻ってきた秀吉が信長相手に詠むのが苦しい。後一歩のところで天下を逃していまだに執着している信長よりも、光秀を騙してまで天下を獲ったのにその夢の儚さを知ってしまった秀吉の方が、もう1度蘇ってしまったという点では不幸というか、抱える苦しみがいっぱいあるんじゃないかなぁ。このシーンでのこの句は天下人になった自分だけではなくて、現代で天下を獲ろうとしてる信長にも向けているのかな。悟ってしまう、ってどんなに絶望するものだろう。

自分のしたことを肯定しながら、でも光秀に対して罪悪感や謝罪の気持ちも持ちながら、そんな秀吉が、「自分の意思でございます」って信長に訴える光秀の声を聞くのはどんな気持ちだったんだろう。信長の力に圧倒されていろんなもの背負って戦って苦しそうに俯いて、でも、本能寺のときも秀吉に騙されたんじゃなくて自分の意思で上様を討ったのだという言葉にハッと顔を上げた秀吉の表情を今でも思い出せる。

「おぬしに泣き顔は似合わん、いつでも笑っておれ」っていう光秀の言葉の厳しさと声の優しさが好きだったし、そこで初日は笑ってたと思うんだけど後半になるにつれて泣いてるみたいな呻き声を漏らしたり顔を伏せる秀吉がすごくすごく愛おしくて。秀吉は救われたんだろうか。許すとか許さないとかそういう話ではないけど、光秀と秀吉の双方の心の奥底にあったわだかまりが、少しでもほぐれていればいいな、と思う。

ラストシーンで信長に地面に叩きつけられて「さて、何とするのだ!」って吠えられた秀吉が「お供致します!!」って叫び返すの、最高としか言えない。天下を獲ったことを朋希にばらされて焦って笑いながらぺこぺこしたり、睨まれて縮こまったり、でも信長の体が虚弱であることを知ってがんがん攻撃仕掛ける強かさも見せつつ、最後はやっぱり「上様の家臣」になっちゃうんだよね。いま書いてて思ったけど、あの中で天下人は秀吉しかいないし、「天下人」の顔と「家臣」の顔を両方兼ねてるのも秀吉だけなんだなぁ。信長への呼び名が3種類くらいあって、その中でも「上様」は日本でたったひとりいちばん偉い人にしか使わないんだって話がアフタートークで出ていたけど、秀吉は自身が天下人になって死んだあとも、信長に会えば彼を「上様」とためらいなく呼ぶんだなって刷り込まれた上下関係を感じた。

こんな感じで秀吉に対してはシリアスな面に心掴まれたんですけど、これだけ複雑でかっこよくて苦しいのに自動車に乗りたがって駄々をこねたり見慣れない洋服や靴に目をきらきらさせたり中島の言うこと信じて褒美を取らせようとしたり可愛いところもいっぱいあって、かと思えばまた軽やかに飛び跳ねたりでんぐり返しで受身とったりするからずるいなあと思います! 秀吉おじいちゃん、ずっと背中丸めてるのに光秀と本能寺のときの話するときはグッと背すじを伸ばしててときめきました!

 

 

秀吉だけでめちゃめちゃ語ってしまったんですけど、他の登場人物もみんな大好きなのでひとりひとりコメントしていきます。

 

まず、中島。

小笠原さん、ハマり役だったな~! 秀吉に無礼な態度をとる朋希を必死に庇うのにぜんぜん言うこと聞いてくれなくて「お前、もうっ庇いきれんぞっ・・・切腹しろ!腹を切れ!しねっ!」ってごろごろのたうち回るところと、蘭丸の美しさ伝説を聞くくだりの「だから向こうで座って聞くっつってんだろ!やっちまうぞ!」が好きです。緩急の付け方が上手すぎて何回聞いても笑ってしまう。ツボ。すべてにおいて楽観的だし適当だしなんだか可哀想なんだけど、武将が出てくるたびにテンション上がっちゃうのが可愛いなあと思った。中島が舞台上にいるとほっとする。

信長・大塚。

大塚のときの小動物のような愛らしさから一変、信長めっちゃ怖かった。浜崎(光秀)捜索中に木刀を構えた大塚が肩を固くしてきょときょと周りを窺ってたのと同じ場所で、信長がスッと立ちながら確認するみたいにゆっくり手を握ったり開いたりしてて、数分前とのギャップに目を奪われてしまった・・・。大塚、浜崎に憧れてるというか懐いてる感じがして可愛い。信長も、光秀や秀吉とはまた違った意味でかわいそうで悲しいなぁと思った。たくさんの人に慕われて実力もあってカリスマで天才なのに、部下に「上様から見れば、みな愚か者でございましょう・・・!」って突き放される。必要のないものは壊してきた信長が、律儀さを利用して縛ってきた光秀にそうやって面と向かって歯向かわれるってどんな気持ちだったんだろう。我らの出番はありません、って言われたんだよなあ、この世界に自分は必要ないんだって突きつけられたわけだよなあ。苦しいけど、強くて恐ろしいひとが絶望する状況はとても美しいなあ。「地獄で待っておるぞ」っていう最後の言葉、「あの世」じゃなくて「地獄」なのがいい。

 光秀・浜崎。

秀吉には騙されるし信長には謝り倒しだし勝家には嫌味言われるしひたすら可哀想だなあと思っていたんだけど、蘇ってからは「秀吉に騙された可哀想な家臣」として信長のもとにいたわけで、結構ずるいところもあるのかもしれないな、って友達と話してて気づいた。でも光秀は自分で自分を「可哀想で愚かな騙された男」から脱却させたんだよなあ。自分を殺した農民の生まれ変わり(ってことでいいのかな?)であるところの朋希とまた出会って同じ言葉を投げかけられることで因縁を断ち切る、これも秀吉の言葉を借りれば「果てしなく続く因果」なんだろうなあ。そしてその因果を気づかせるのはいつも朋希なんだな。あと所作の話だけど、腰に差してた刀をすっと抜いてかしずくしぐさが綺麗すぎてまじまじと見てしまった。浜崎のときとは声からして違っていたから、佐川さんすごいなあと思いました!!

勝家・高杉。

ギャップ大王だった!!! 眼鏡かけた神経質っぽい可愛い子だと思ってたら鬼柴田を見事に荒々しく演じていて目を剥きました!!! 勝家と言えばやっぱりひとりでの剣舞(って言っていいのかな)のシーンと幸村との殺陣ですよね。腕とかめちゃめちゃ細いのに一撃の重みが感じられて強そうだった。赤い照明をひとりじめしながら刀を地面にドンッて突き立てるところかっこよすぎて鳥肌立ったなあ。いちいち声も動きも大きいのが豪胆で、でもお顔はハイパーキュートだから、たびたび「んん?」って首を傾げるのが可愛らしくて高低差で耳がキーンとなりました。勝家が最初に名乗るシーンが好き。

 蘭丸・幸田。

蘭丸めっっっちゃ可愛かった。目線の高さに気づいて悲鳴あげるところもそうだし、「蘭丸にはこの着物、ふんっ。好みに合いません」の「ふんっ」が可愛かった。幸田のときはチャラくてだるそうで今時の甘やかされた若者って感じなのに、蘭丸が降臨すると涼しげな美人さんになるからどきどきしました。ブスじゃない蘭丸も楽しいなあ。信長・光秀のちっちゃいものクラブと並んだときの蘭丸さんの細長さ、好きです。どんなに落ち込んでいても信長に声をかけられたら一気に笑顔になるのも素直でかわいかったなあ。

幸村・津田と、川上。

名コンビだった~!!ふたりの温度差が絶妙!! 川上が出てくるだけでみんな笑っちゃうからずるいよね。川上に振り回されながらもひたむきについて行く津田が可愛かったし、ハハーッのキレの良さにびっくりした。津田はどこか抜けてて報われないけど、一生懸命でいい子だ。そんな津田を「津田くん」って友達みたいに呼ぶ高根くんもいい子なんだろうなあと思いました。幸村の殺陣も凛として静かでかっこよかったなあ。

由井野さんと師匠。

由井野さんの小ネタはぜんぶ面白いしゴーストバスターズのTシャツが出オチすぎて笑ったし途中「あれ?なるさんの一人芝居観にきたんだっけ?」って混乱するくらい存在感も何もかも濃くて楽しかったなあ。師匠は野生的になりつつも人間としての尊厳を忘れていないのがよかった!!毛布を前掛けにするシーン大好きだった!!あと木の枝から実?を取って食べるお芝居が上手すぎて見つめてしまいました。

そして、朋希!

根が優しくて、素直で、まっすぐで、正直で、とてもシンプルに物事を考えられる朋希だからこそ、秀吉とああいう関係を築くことができたし、光秀にも真正面から立ち向かうことができたんだよなあ。今回、殺陣や所作に力を入れてるだけあって武将たちはみんな動きひとつひとつに無駄がなくて洗練されてる感じだったんだけど、朋希だけ刀を持つ姿がへっぴり腰で慣れてなくて弱そうなのが目立っててよかった~!そんな朋希が「怖いなあ」って言いながらも刀を手放さないのがぐっときた。他人に「あんたのやってることは間違ってる!」ってきちんと言えるのは優しさだし強さだよなあ。「俺の首、はねなくてよかったの?」っていたずらっぽく笑うのがすごく好きだったし、「あんたが悪い人間じゃないってわかってよかったよ」って朋希が言う秀吉を、私も、善人とは言えなくても悪人じゃないって思いたいなあ。私の気持ちの関係もあるんだろうけど、千秋楽が近づくにつれてどんどん朋希の言葉や表情に熱が増していってる感じがしてぞくぞくした。ついに我慢できなくなって最終日にブロマイド買っちゃったもんね・・・。あと、話にはぜんぜん関係ないけど、売れっ子若手俳優の朋希は、正直者すぎるゆえに事務所からツイッター禁止されててインスタだけやってるか、もしくはツイッターやっててたびたびプチ炎上起こすけどそこに悪気は一切ないからファンもその都度許してそうだなあってゆるゆるっと思いました。

 

 

まとめ。

リバヒス、すっごく面白かった~!! 円形劇場だったから位置によって見えるものや感じるものも少しずつ違ってて、新鮮に楽しめました。

このお話はとても演劇的だなあ、と思う。戦国武将(役)が体に降りてきて、特性や普段の性格とはまったく違う自分になるっていうのが。因果とか因縁とかそういう「繋がり」が話の肝となるこの作品が再演を繰り返して、たくさんの役者さんの体を借りて縁や歴史や役をつないでいくっていうのがとてもしっくりくる。これからもいろんなかたちのリバヒスが生まれるといいなあ。

最後に個人的なことを言うと、WBBの前回作品である懲悪バスターズが面白すぎて「今年もうこの感動やわくわくの気持ちを越えるものがなかったらどうしよう」とか勝手に心配だったり不安だったりしたんだけど、本当に杞憂でした。何度でも言うけどリバヒスめちゃめちゃ楽しかった。最高!って思える作品が増えた幸せを噛み締めてます。大好きな役者さんが作るお芝居が面白いっていちばんの幸せですよね。ありがとうございます、これからも大樹っちゃんについて行きます。

この劇場で、このキャストさんで、この配役で、この2016年に最高のリバヒスを観れてよかった!

 

 

舞台俳優応援スタンス

a2oo879k.hatenablog.jp

 

こちらのブログ記事でこのトピックについて知ったのですが、面白そうなので私も流行りに乗って書いてみます。

項目など参考にさせていただきました。

 


 

■基本情報
・関東在住、実家暮らし

・都内の大学に通ってる

バイトは2つ掛け持ちで週4~6くらい?長期休み中は連勤しがち。あと短期バイトをたまにやったり。



■推し
佐野大樹さん。

演劇ユニット*pnish*のリーダーで、実のお兄さんでありジャニーズの佐野瑞樹さんとのユニットWBBも兼任。

滑舌が悪くて音痴でいっぱいいっぱい、みたいなキャラクターが強い気がするけど、私が生で観てきた限り台詞が聞き取れなかったことはないし、リズムはさておき歌声も好きです。

あと、矢崎広さんを応援してます。最近、玉置玲央さんを応援し始めました。




■好きになる基準
・ハングリー精神が強い

・楽しそうにお芝居をしている

・負の表情が上手い

・ストイック

芝居もっと上手くなりたい!とか、いろんなこと挑戦したい!とか、そういう熱のある役者さんが好きです。全力でやってるのがこちらに伝わりやすいというか。ど真ん中が似合うひとに惹かれます、本人がそこにいることを望んでいるかどうかは置いておいて。

お芝居楽しいーって伝わってくると安心します。応援していいんだなって思う。

耐えるとか怒るとか悲しむとか絶望するとか、そういう暗くて激しくて尖った感情を上手にお芝居として表に出せるひとが好きです。あと、私自身が自分に厳しくあらねばならぬっていう修行僧みたいな感じなので、好きになる役者さんもシビアに物事を見つめていたり自分や他人に厳しくあったり妥協しないひとのような気がします。



■雑誌を買う基準
載ってたら買います。って言ってもぜんぜん載らないのできちんと発売したときに買えたのは1冊だけなんですけど!懲悪の製作発表があったときは新聞もとりあえずコンビニにあったやつは一通り。

あと過去に載ってた雑誌はちょいちょいバックナンバーで集めてます。


■映像を買う基準
とりあえず買う。過去作品もお金に余裕ができたら買う。

ブルーレイが出れば迷わずそっちを買うんだけど、舞台界隈にはまだそんなに浸透していない感じなのでジャニーズのコンサートブルーレイに慣れた目でDVDを観ています。


■現場に行く基準、遠征に行く基準

推しが出てればゲストでもなんでもとりあえず行きます。演出や脚本のお仕事も、仮に出演がなかったとしても関わってるなら行く。

出演舞台は、基本的に全日入ります。土日はマチネに入ったり入らなかったり。初日と千秋楽はマスト。

って感じだったんだけど、懲悪で全通してみたら、土曜マチネの時間帯にバイトしながらそわそわしたり当日券で入ろうか頭抱えたりしなくてもいいのがとても楽だったので、今後はなるべくぜんぶ入ろうかなって思ってます。遠征も楽しいからします。夜行バスは眠れないタイプなのできついけど。社会人になったら新幹線で遠征するのが夢です。

私がいなくても当たり前に舞台は始まって終わるし私が入らなくてもその席には誰かが座るんだろうと思ってるので義務感とかはないんだけど、ただ今は推しを1分1秒でも長く多く観ていたいなあという気持ちが強いのでチケットを買います。今の推しも今の私も、この瞬間この場にしか存在してないので。

今年は年間公演数の8割行ければいいなって目標を勝手に立ててます。

余談ですが、矢崎さんに関しては1舞台1公演を目安に入ってます。矢崎さんのお芝居を観るのは気持ちよくてとても楽しいのでなるべく行きたいんですけど、いかんせんチケット単価の高いものが多いのでお財布と相談しつつ追いかけてます。玉置さんもそんな感じで追いかけたいんですけど柿フェス3回増やしたしイヌの日も2、3回行ってしまいそうだし年末の本公演はどうなるかわかりません怖い!


■グッズ/写真を買う基準
パンフレットはどんなものでも絶対買うけど、客演で出た舞台のランチバッグとかは買わなかったな・・・。パンフは写真のビジュアルよりもテキストが良いと嬉しい。まあだいたいビジュアルもめちゃめちゃいいんですけど(真剣)

WBBの缶バッヂは記念に買うし、pnishの物販で出るものも基本的にぜんぶ買います。

写真は個人のものだとD-roomで販売されるくらいなので買います。いつか客演とかで個人ブロマイドが出ないかなぁって夢見てるけど、どうかな・・・。佐野大樹さんのブロマイドくださいって言ってみたいです。



■プレゼント/手紙について

お手紙は基本的には1日1通。夜に書くとテンションがおかしくなりそうで怖いので、土日はマチソワ間に書いたり。1通1通の文章量はそんなに多くないです。

はじめて書いたときからずっと同じ封筒と同じ便箋なのでなんだか愛着があります。もともと言葉を書くのが好きだし伝えたいことがいっぱいあるので、何通書いても飽きない。最終的には同じことを言っちゃってるのかもしれないけど。アンケートも毎公演出すようにしてるので、よくもまぁこれだけ感想が出てくるなとは自分でも思う。

プレゼントは1公演1つか、期間が長いと2、3つくらい。選んでる時間とラッピングしてる時間が楽しい。



■同厨
関係ないけど私の周りでは「厨」ってワードを使うひとがいないから「同厨」の響きが新鮮だ。

推しが同じでもそうじゃなくても特に気にならないです。好きなひとは好きだしそうじゃないひとはそうじゃない。私にやさしいひとはみんな好きです。

みんな心の中に理想の推しを抱えているから、まぁぶつかることもあるよね、とは思います。



■総合的な応援スタンス

私はゆるやかに長く追い続けるよりも、全力の今を重ねた結果である未来に尊さを感じるタイプなので、とりあえず先のことは考えずがむしゃらにファンをやっていきたいなぁと思ってます。

どんな風に応援しても後悔するときはするし、でもそれを少しでも減らすために日々模索しながら、悩みながら迷いながら、ファンをしています。次のお仕事が決まっている/決まっていないに関わらず、常にこの現場が最後かもしれないって祈るみたいに観に行ってる。どうかまた舞台の上に立つ姿を観れますようにと願って、その姿を観るためにできることをぜんぶしようと思って、やってます。だから結局推しを観たい自分のために頑張ってるだけなのかも。頑張ってるって言葉を遣うのもおかしいけど。

たくさんたくさんくれる元気や幸せや感動のお返しをしたいのにいつも貰いすぎてしまうから、せめてひとかけらでも返せたらいいんだけど、私にできることって舞台を観に行くとかお手紙を書くとかそれくらいしかないんですよね! だからそれをやるしかないんですよね!

今日もハッピーに推しのファンをしてます。ぴーす。

 

柿フェス/いまさらキスシーン 感想

期間:6月2日~26日

劇場:花まる学習会王子小劇場

あらすじ(公式サイトより):

部活!勉強!そして恋愛!あらゆるものに心奪われながら

天才女子高生は今日もひとり、国道4号線をひた走る!

稀代の名優・玉置玲央が魂を捧げる爆走系青春喜悲劇!

 

 

さて感想です。

玉置玲央さんは怪物か何かか??????????

すごかった。すごかったです。追加公演に入ったらまさかの最前列だったのですが、近距離で玉置さん、というか三御堂島ひよりちゃんのミニスカートから覗く黒Tバックとショッキングピンクのセットを上下左右端から端まで駆け回って這い上がる驚異の身体能力を目の当たりにし、開演1分の時点で「やべえ空間にきてしまった」と思いました。

恐ろしいほどに濃密な、ひとりっきりの、特異な空間。まさか30分間で人生が変えられるとは思いませんでした。もうひよりちゃんに会っていなかった頃の自分には戻れない!最高!!

 

せ、す、じ、を、ピン!と伸ばして国道4号線を走るひよりちゃんは、まっすぐで、そりゃもうまっすぐすぎる女子高生。華奢な体型をしているわけでもない31歳の男性が演じているのに、ふとしたしぐさや表情がめちゃめちゃに可愛くて本当に女子高生に見える瞬間がある。

特に男前田先輩とぶつかって恋に落ちるシーンのひよりちゃんがもう可愛くて可愛くてたまらなかった。「・・・よい!かっこよい!」のところ。男前田先輩はなんだかさわやかすぎてむしろ胡散臭いくらいに感じたのだけど、ひよりちゃんの個性が抜群に強いからそれくらいの方が釣り合いが取れているのかも。

終始パワーが強くてエネルギーに満ちあふれたひよりちゃんなのに、先輩の前ではしおらしい声を出すのがほんとうに可愛い。好きなひとの前では全力で可愛くありたいんだよなあ。先輩が受験に落ちちゃったって知ったときの「え?ということは先輩はまだこの辺りに生息している?」って手で口もと抑えるの可愛かった。目をきょときょとさせるのも可愛かった。

ひよりちゃんは真面目な女の子なんだろうなあと思う。ひとつのことに全力投球してしまう。部活に勉強に恋愛に体当たりで、でもだからこそどれを選ぶこともできない。ぜんぶを同時進行することもできない。とんでもなく不器用な女の子は、ひとりっきり。100人超の観客が周りにいるのに、なんにもできない。ただただ、彼女がまっすぐに歪んだ青春を駆けていく姿を観ているだけ。

途中から、拳をぎゅうっと固めて観ていた。正直もうやめてくれって願いながら、それでも目が離せなかった。離したらいけないと思った。大好きになってしまった女の子がバットで殴られて、服脱がされて、ひどいことされてくのを、目撃していた。先輩たちに何をされたのか、考えたくなくて震えているところに「これはレイプだ」って声がしたとき、ドキッとした。さっきの行為を指した言葉ではなかったけれど、もしかして、やっぱり、と絶望が胸に広がっていくようだった。

それでもひよりちゃんは走る。背筋をピンと伸ばして走る。いつもどおり。先輩に会いたくて。てかキスしてください、と呟く声がか細くて、ばかみたいに切なかった。おでこにキスで済ませた先輩は、それでもキスしてくれたんだから優しいのかもしれないけど、私が代わりに殴ってやりたかった。

もう背筋をピンと伸ばさなくていいよ、と言いたいような、そうしないとひよりちゃんは立っていられないのかもしれないと応援したいような、不思議でやりきれない気持ちになった。ひよりちゃんはとても強くて、強いからかなしかった。あの滴る汗がぜんぶ涙だったらもっと救われたのに。どんなに現実が打ちのめそうとしてきてもひよりちゃんは泣かない。いつだって前を向こうとする。

ひよりちゃんの青春は間違っていたんだろうか。痛くて、世間的に見ればきっと失敗だらけで、でも私は、私たちは、ひよりちゃんがどんなに一生懸命に青春を過ごしてきたかを知っている。国道4号線をひたすら走ったひよりちゃんがどんなに美しかったかを知っている。

たったの30分間で、私は三御堂島ひよりちゃんを愛したのだと思う。

 

終演後、ゆびが震えてアンケートを書くのに手間取った。からっぽの舞台にどきどきして、上手く呼吸ができなかった。初めての体験だった。

カーテンコールで深くお辞儀をしながら倒れ込んだひよりちゃんには、もう会えないのだろう。いまさらキスシーン自体はあと2公演あるけれど、私が出会ったあのひよりちゃんはきっともういない。どこにもいない。

こんなに祈るようにお芝居を観たのははじめてだ。色濃い絶望に噎せ返りそうになりながらも、その中に差す微かな希望が泣きたいほど美しかった。

 

そんな本編を終えてアフタートークで出てきた玉置さんは大きな口を開けて笑っていたり緊張している福井さんを気遣ったりお客さんの前で正座したりととても誠実でかっこよくてかっこよくてかっこよかったのがずるかったです。降参。

 

 

本当に、本当に、観に行ってよかったです。ひよりちゃん、またいつか会おうね。

さあ、玉置玲央さんのファンになった人生こんにちは!!!!!!!!!!!イヌの日のチケット取りました超たのしみ!!!!!!!!!!!!!!!