推しを考える――宴騷会に寄せて
佐野大樹さんってどんな人だろう。
だいぶ日が経ってしまったけれど、先日、推しこと佐野大樹さんが41歳のお誕生日を迎えた。
昨年まで行われていたD-roomではなくとも「宴騷会」という形で今年もイベントを開いてくれたことがすごく嬉しくて、ゲストも無しでひとりきり、ただただピアノとお話を聴かせてくれたことに驚いて、2日間5公演、例年以上にずっと、大樹っちゃんのことを考えていた。
今までのイメージが崩れたり大きく変わることはない。だけど、少なからずファンとして年数を重ねてきても、新たに知る面でびっくりしたり笑ってしまったり一層好きになったりもする。
どんな人だろう。どんな人だっけ。どんな人だから好きなんだろう。
かっこいいひとだと思う。
宴騷会では毎回衣装チェンジしていて、カチッとジャケットを羽織っているのがピアノと合っていてすてきだった。白タートルネックの回は紛れもなく世界一王子様だった。本人は居酒屋テンションだったけど。
整った顔立ちもすらっとしたスタイルも、ぜんぶかっこいいなあと思う。何度見てもはっと惹きつけられてしまうし、どの角度からでも眺めていたくなる。
好きな顔なんだろうな。スリザリンに組分けされそうな顔が好きです。世界三大好きな顔は、佐野大樹さん、佐藤永典さん、本郷奏多くん。わかりやすいね。
お顔が好きなのはもちろんなのだけど、それ以上に、生き様がかっこいいひとだ。
俺はこうしたい、っていう目標というか志がきちんとあって、それを叶えるため、守るために努力ができるひとなんだなあって見てて感じる。何かをやり通せるひと、その覚悟があるひとはかっこいい。
真面目なひとだと思う。
今回、仕事に関するお話をたくさん聞いた。
D-roomとかそのほかのイベントで聞くお話も舞台のことが多いから、「仕事」のお話ではあるんだけど、そうじゃなくてなんというか、社会で生きる人間としてのお話が多かった。どういう意識でお金をもらっているか、どうやって責任を果たしているのか、どんな思いで取り組んでいるのか、みたいな。
私は社会人2年目のぺーぺーだけど、大樹っちゃんと仕事をする人は勉強になるだろうなあと思った。手を抜けるところは抜いて、最低限のことだけすればいいじゃんって、そういう仕事のやり方もあるだろうけど、こうやって、お金や人の価値と意味を考えて全力を注ぐのってすごいことだ。絶対に、すごいことだ。
大樹っちゃんを見ていると、頑張るのって正しいことなんだなって思う。勇気をもらう。頑張っていいんだって思う。全力出すのがダサいって、そういう呪いに囚われてた自分が泣き出しそうになる。
大樹っちゃんの真面目さは救いだ。
やさしいひとだと思う。
D-roomも距離が近いイベントだったけど、今回は規模がぎゅっと小さくなったことも作用して、本当にひとりひとりと接してくれた気がする。ファンの目を見て、言葉を拾って、呼びかけて、笑って。
大樹っちゃんが忙しいことなんて一目瞭然なのに、それでも、1年かけてピアノを練習して、こうした披露の場を作ってくれる。プロみたいに上手いわけじゃない。完璧に弾けるわけじゃない。でも私にとってはいちばん心に響く音だ。
今年は既存曲が2曲と新曲が2曲。ぜんぶ暗譜してて本当にすごい。1月、プロデュースと演出と出演した舞台もあったのに。それだけ練習したんだろうなあって、グランドピアノに反射するきれいな横顔を見ながら胸が熱くなった。
パフォーマンスをするのが仕事だから、それに見合う努力は当然だろうって、そう言ってしまったら終わりかもしれない。でも、やっぱり当たり前じゃない。やりたくないとか辛いとか、大樹っちゃんも人間だからそういう日があるかもしれないけど、それを乗り越えてステージに立ってくれることを、努力を重ねてくれることを、ものすごく尊いものだと思う。
大樹っちゃんのやさしさはあったかい。私は、ひとに親切にできることと心根がやさしいことは別だと考えているけど、大樹っちゃんは両者が共存してるんだよなあ。やさしい考え方をするひとだし、やさしさを表現できるひとだと思う。そういうところも尊敬している。
明るいひとだと思う。
真剣な眼差しで語っていたと思えば、次の瞬間にはワッハッハと笑い飛ばす。しんみりしちゃったねと笑って、冗談を言ったりもする。
宴騷会はゲストがいなかったから、正真正銘、大樹っちゃんだけのイベントだった。お手伝いでべっちんがいたり、土屋さんが遊びに来たりはしていたけど、基本的には。D-roomでも大樹っちゃんひとりきりの会がなかったわけではないけど、そういうときはトーク以外の部分が強かったから、今回みたいにじっくりお話を聞ける機会はなんだか新鮮だった。
大樹っちゃんは私たちを味方だって言う。D-roomではお友達と呼んでくれていた。近いところで歩んでくれようとする。いろんな部分を見せてくれようとする。
私はひねくれ者で、自分が大樹っちゃんに抱いているのは偶像崇拝なんじゃないかとか、理想を見てるだけなんじゃないのかとか、応援ってなんなんだとか、いろいろ、ぐるぐるぐるぐる考えてしまうのだけど。そんなもの、佐野大樹さんの前では木っ端微塵なのである。私は大樹っちゃんの味方だし、ファンで、「俺のことを好きなひと」だ。
なんでこの人のこと好きなんだっけ、なんでこんなにチケット買ってるんだっけとか、そういうこんがらがったものをスッとまっすぐにしてくれるのが大樹っちゃんなんだよなあと痛感する。ぱっと辺りが照らされたみたいに視界がクリアになるのだ。
明るいひと。明るくしてくれるひと、のほうが近いかなあ。
かっこいい。真面目。やさしい。明るい。言葉にしてしまえば一瞬だけど、その内訳を私はたくさん知っている。大樹っちゃんのすてきなところ、好きなところなんて山ほどある。
大樹っちゃんの内面なんて知らずに好きになったし、「*pnish*でお芝居してる大樹っちゃん」を好きになった頃から、今はいろんなことが変わったけれど、それでも知るたび見るたび聴くたびにそのぜんぶを好きだなあと思えることはきっと幸せだ。
ああ、宴騷会、とっても楽しかった!
佐野大樹さん、お誕生日おめでとうございます。
今日も演劇の世界に身を置いてくださってありがとうございます。
私がファンでいられるのは、毎日楽しく過ごせているのは、大樹っちゃんのおかげです。
出会えて本当によかったです。大樹っちゃんを好きになれて、好きになった役者さんが大樹っちゃんで本当に良かったってずっと思っています。
どうか好きなことをしてください。大樹っちゃんのやりたいことが、私の観たいものです。
41歳の大樹っちゃんに、嬉しいことと楽しいことが抱えきれないほどありますように。悲しいことや苦しいことはなるべく少ないほうがいいけれど、もしあったとしても、そのすべてが糧になりますように。
この1年も、あなたのファンです。